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2008年05月26日

●『バイト探しの旅3』高柳将太

ヤンマーに言われた。

「1日一万以上稼ぎたいんなら、時間が固定のバイトを細々やれば超えるでしょ?」


俺は何故そんな簡単な事に気づかなかったんだ。
一つのバイトで1日の給料が一万超える所しか探していなかった。
なるほど!!
だったら朝早くから働けばいっぱいバイトができるじゃないか!!

そうですよね?
新聞配達しかないですよね?

俺は櫨(はじ)家に向かった。
櫨家とは昔から家族ぐるみで仲が良く、
そこのお母さん(デブオバ)が新聞配達をやっているのを思い出し、
話を詳しく聞きに行こうと思った。

しかし、一つ問題がある。
デブオバの旦那である。
俺の人生の中で一番恐れていた人物である。
俺は幼稚園から高校までサッカーをやってきた。
その内の小学校から中学校までのサッカーの指導者がデブオバの旦那なのである。
小学校から雨の日も風の日も休みなくサッカーをやってきたが、
はっきり言いましょう!!

やらされてました。

デブオバ旦那に怒られるのが怖くて…。
今思うとそれがいけなかったんだと思いますが、なんせ子供の頃の僕の性格ですから
一度殴られたら、今度は殴られないようにしようとしちゃいます。
それが結果的に
¨やらされる¨とゆう形になったんだと思います。

「おじさん!このゲームはコーナーキックありますか?」
「んなもん自分で考えろーたわけっ!!!!!」

しゃべりかける事すら怖かった。
新聞屋の話は聞きたい。
ただ、その家には人生のボスがいる。
しかもそのボスとは中学卒業以来会っていない。

葛藤が始まる。
と思いきや、そうでもなかった。
俺の気持ちはワクワクしていた。

成長した自分を見せれるからである。
そして、あの時怖くて言えなかった事を言えるチャンスが来たからである。

ピンポーン。

デブオバ登場。

「将太何しに来たの?あっおじさん?ちょっと待ってね!」
「いや、おじさんとも喋りたいけど、デブオバにも話があってね。」
「はっ!?なにー気持ち悪い!」
「あんたの体の方が気持ち悪いわ!!」
「わかったわかった。で、なんなの?」
「新聞配達って時給換算するといくらになる?」
「新聞配達ー!?あんた役者目指して東京行ったと思ったら今度は新聞配達か!!」
「色々あるんだわ!!俺は時給が聞きたいの!!」

すると奥の扉がゆっくり開く。

「おー久しぶりだな!!何しに来たんだ?」

相変わらずのオーラだった。
声は図太く、体は日焼けして真っ黒。そして金髪。
昔となんら変わっていなかった。


「あっ。お、お久しぶりです!!実はデブオバに新聞配達の話を聞きたくて…」
おじ
「は!?新聞配達!?お前にできるのか!?」

「や、やれると思います…。」
デブおば
「将太は朝起きれんてー!」

「うるせーできるわ!!」
おじ
「お前は起きれんだろ!」

「そ、そうですかね?」
デブオバ
「そうだわ!あんた遅刻ばっかしとったがね!」

「うるせーデブ!!」
おじ
「ま?立ち話もなんだから上がれよ!!」

「はい!おじゃまします!」
デブオバ
「ちゃんと靴そろえろよ。」

「うるせーデブ。」
おじ
「ワハハハハ!!」

よし、ウケた。

昔からおじさんは、俺がデブオバにぼろカス言うと必ず笑っていた。
他の人にぼろカス言うと怒るのに、何故かデブオバの時は笑ってくれた。

夫婦って怖い。

そしてデブオバ。
悪いが昔からあんたはおじさんを笑わす為の犠牲でしかなかった。
すまん。

そして部屋に案内され、酒も入り話はどんどん弾んだ。
時間がたつにつれて、おじさんに対しての敬語もなくなり、
いよいよコーナーキックの話をした。

「おじさん知ってる?昔ミニゲームでコーナーキックあるかないか
おじさんに聞いたらめちゃくちゃキレてきたんだよ!?」
「それは今でもそうだぞ!!」
「いや、それはいかんて。子供が自分の主張ができなくなるよ。」
「自分で考えさせる事が大事なんだ。」
「それも大事だけど、何も怒る必要ないじゃん!!」
「ま?昔はすぐ怒ってたからな。」

自分自身ビックリしていた。
おじさんに反抗するなんて、大阪で巨人のユニフォームを着て歩くようなもん。
それくらい恐ろしい事を俺はやっていた。

でもおじさんは笑顔だった。

後でデブオバが、
「オヤジもああゆう奴だもんで、教え子がみんな怖がっとるんだわ。
教え子で一人で家来たのなんてあんたが初めてだに?
嬉しいんだわ。」

と言っていた。
俺にとっておじさんは怒る人間とゆうイメージしかなかったから、
何をしても怒られる気がしてた。そんなおじさんに喜ばれるとゆうのは、
初めてだった。

なんか、やっと大人になれた気がした。
昔一番怖かった人と対等にしゃべれた事がすごく嬉しかった。
そこでようやく気づいた。

俺はおじさんが好きなんだ。と。

昔から怖くて大嫌いだったおじさんが実は好きだったんだと。
昔のトラウマが晴らせれた。
そうなると自然と自分の過去が美しくなる。
あ?俺はおじさんの下でサッカーができてよかったんだ。
何があってて何が間違いかわからない小学時代にしっかり怒られてきてよかったんだ。
と。

おじさん、ありがとう。

そして帰り際。
おじさんとの会話が弾みすぎたせいか、
新聞配達の話なんかどうでもよくなっていた。

俺はここに来て大人になったんだ。
壁を乗り越えたんだ。
もう何でもできる!
気持ち良く玄関に向かうとデブオバが、

「将太!新聞配達の時給分かったよ!」
「ふ?んそうなんだー!また今度ねー!」
「時給換算すると1700円くらいだわ!!」
「ふ?ん。

は!?なんだってー!?」

「ここの隣のココストアの店長も新聞配達やってるんだけど、
その後に朝コンビニもやっててその2つだけで7000円以上は貰ってるよ!
そっからまた違うバイトすれば軽く一万は越すよ!」
「まじ!?まじ!?」
「まじ!!明日聞いといてやるわ!」
「まじ!?まじ!?」
「あたしにとっちゃココストアの店長は子分みたいなもんだから、明日聞いといてあげるよ!」
「子分とかそんな自慢いらんけど、まじ!?ありがとデブオバ!いや、デブオバ様!」
「あんたは本当調子がいいな!」

そして帰り道。
さっきまでのヘコみ具合が嘘のようだったかのように
我慢しても笑顔が出てしまうくらい一人でニヤニヤしていた。
もはや単純としか言いようがなかった。
ウキウキモードで帰ると
横に例のココストアが現る。
アルバイト募集が張ってあり、中の店員にはバレないようにさりげなく見る。

「5:30?9:30 \1,000」

嘘だろー!!!!
家から徒歩30秒のコンビニで、1000円って嘘だろー!!
しかも朝のこの時間帯で!
この辺の地区での時給の相場はだいたい800円。
むしろ800円は高い方。
ありえない金額なのである。
俺は明日まで待ちきれず直接交渉する為にココストアに入った。

すると店長発見!
みとけよー!絶対受かってみせてやる!

次回、ココストアとの駆け引き。

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