●『年上アピール。』高柳将太
昨日芸術劇場になつきと折り込みに行ってきました。
本番前の下見も込みで。
つーか芸劇でけー。
中は入れなかったけど外見半端ないっすね。
一回ここでやっちゃったら他でできなくなりそうで怖いわ。
かなり刺激されました。
折り込みも二時間で終わり、稽古までの空いた時間をなつきと過ごす。
なつきが言う。
「米が食べたいです!」
俺はなつきより二つも年上。
「いいぞ!なんでも食べなさい!」
と、年上アピールをする。
米だったら………
22年生きてきた経験を生かし頭の中で米屋を必死に探す。
思いついたのが、
「松屋。」
いかんいかん!
年下の女の子に松屋をおごった所でなんのアピールにもならない。
だから俺は言った。
「なつきは辛いもの食べれる?」
なつきは可愛い奴なんです。
とても辛いものが食べれそうなやつじゃないんです。
そこでなつきは「食べれませーん!」と言う。
と思った。
そうなれば、
「辛いの食べれないのか?ガキだなー」
と俺が言って年上アピールができる。
しかしなつきは、
「辛いの余裕っす!大好きっす!」
満点の笑顔で言うわけです!
まるで、アンパンマンに助けてもらったメロンパンナちゃんのような満点な笑顔。
その笑顔にやられた俺ことアンパンマンは
中華料理屋に入った。
先に俺が頼んだタンタン麺がきた。
カップラーメンよりまずい950円のタンタン麺。
テーブルの上に出されて10秒で一口目を食べたのに、
最初から伸びきってるタンタン麺。
なつきに言った。
「ここひどいぞ!」
なつきは
「まじっすか?」と、またまたメロンパンナちゃんのような顔をしていた。
こいつは可愛いな。
素直で明るい元気なやつだ!
まずいタンタン麺もなつきの笑顔で美味しくなった。
少したってなつきの頼んだ料理が来た。
「四川チャーハン。」
見た目からして明らかに辛そう。
色は真っ赤っか。
お店のメニューには唐辛子マークが3つもついていた四川チャーハン。
それを迷わず決めた素直で元気ななつき19歳。
「いただきまーす!」
元気よくかきこむ。
辛いんかーい!
なつき、
無理すんなよ。
背伸びすんなよ。
頑張るなよ。
やっぱりなつきは可愛いやつでした。