●『好きな画家のお話』景浦大輔
はじめまして!
今回、劇団SHOW&GO FESTIVALさんの舞台に立たせていただきます、
景浦大輔と申します。
以後、お見知り置きの程を宜しくお願いいたします。
さて、今回の舞台は、『ヒミツキチ』という美術準備室を舞台にした作品です。
自分は、美術にはあまり詳しくはないですが、好きな画家はいます。
有名ではないので名前もご存知ないかも知れませんが、
リューゲマンソンジュという、19世紀のオランダの画家です。
貧しい家に生まれたマンソンジュは、ろくな学習も受けさせてもらえずに、
炭鉱で働く父と共に、子供の頃から過酷な労働に励んでいました。
月に一度、そんなマンソンジュにも楽しみがあり、それが絵画教室でした。
大した額でもない賃金の中から、何とか学費を捻出し、
マンソンジュは絵画教室に通い続けました。
苦しい生活の中でも絵画を描き続けたマンソンジュは、
その才能が認められ、絵の依頼を25の年に受けることになりますが、
それは法廷画の依頼でした。
望んでいたような仕事ではありませんでしたが、
炭鉱夫よりもはるかに身入りがよいこともあり、
マンソンジュは法廷画家として身を立てていきます。
売れっ子という程ではありませんが、仕事に事欠くこともなく、
マンソンジュは忙しい日々を送っていましたが、
その合間に時間を見つけては絵画を何点も描き、
何度となく展覧会に出品しました。
その中で唯一一点だけ、『騙された人間』という、
マンソンジュの自画像と言われる作品が入選しました。
だが、それが最初で最後の、世間に認められた作品で、
マンソンジュはその入選を祝う祝賀会の帰りに、
酔っぱらって川に落ちてしまい、その生涯を終えました。
世に残されたのは、その『騙された人間』を含めた四点の絵画と、
仕事で書いた法廷画のみでした…。
さて、ここでマンソンジュの生涯について書いた文章の、
頭の文字を続けて読んでみましょう。
『ま・つ・た・く・の・う・そ・だ・よ』
はい、そうです!
全くのウソなんですよーん(。 ノ∀<)σ
リューゲ・マンソンジュという人も勿論いません。
そもそも、リューゲとはドイツ語の嘘という意味の言葉で、
マンソンジュもフランス語の嘘という意味の言葉なんですよ!
つまり『騙された人間』というのも、あなた自身なんです!
しかし、ここまで書いた文章の中に、唯一嘘でない部分があります。
それは、私が舞台に立たせて頂くということです!
ここは本当ですからね!!
…とか言っても、もう信じてもらえないかもしれませんが(笑)
共演者の小久保さんと